# by trash-s | 2013-12-31 00:00
晴くん最近お弁当作ってるんだって?
と僕は尋ねた。
妻からそんな話を聞いたのだ。
晴くんから「お弁当ってどんなおかず入れるんだろう?」
って相談されたって言ってた。
「たいしたものじゃないよ。
外で食べるの飽きたんだよ。
こないだ初めて不格好なおにぎり作って持っていって食べたんだけど、
なんだか外で自分の作った物食べると新鮮だったんだ。」
晴くんの会社では皆出社時間もバラバラで、
昼もみんな外に出てしまうからとりあえず人目の付かない
百貨店の屋上で食べたらしい。
「外なのに、家にいるようなほっとした感覚があったんだ。
緊張感のある仕事の最中なら外食がいいかもしれないね。
でも余裕のあるときは、そんなのもいいかと思ってるんだ。」
そう言った晴くんの表情は柔らかい。
僕は流行りなんてあまり好きじゃないけれど、
自分の距離感を持ってる晴くんにはいい感じを覚えた。
「あとね、自分で作った弁当には僕のいびつさが出てるみたいで
なんとなく自分が好きになれる気がするんだ。」
と僕は尋ねた。
妻からそんな話を聞いたのだ。
晴くんから「お弁当ってどんなおかず入れるんだろう?」
って相談されたって言ってた。
「たいしたものじゃないよ。
外で食べるの飽きたんだよ。
こないだ初めて不格好なおにぎり作って持っていって食べたんだけど、
なんだか外で自分の作った物食べると新鮮だったんだ。」
晴くんの会社では皆出社時間もバラバラで、
昼もみんな外に出てしまうからとりあえず人目の付かない
百貨店の屋上で食べたらしい。
「外なのに、家にいるようなほっとした感覚があったんだ。
緊張感のある仕事の最中なら外食がいいかもしれないね。
でも余裕のあるときは、そんなのもいいかと思ってるんだ。」
そう言った晴くんの表情は柔らかい。
僕は流行りなんてあまり好きじゃないけれど、
自分の距離感を持ってる晴くんにはいい感じを覚えた。
「あとね、自分で作った弁当には僕のいびつさが出てるみたいで
なんとなく自分が好きになれる気がするんだ。」
彼女はいつも笑ってた。
何も悩み事なんてないみたいにいつも、会えば笑っていた。
人づてに聞く、彼女の周りで起こった出来事、
彼女が起こした行動、彼女の言った言葉の数々は、
みんな本当のことなのに、彼女はずっと笑ってるから
みんな嘘みたいになった。
一度だけ、深く親しいわけでもない僕が
ただ仲間だと思ってるからという理由だけで、
「たまには吐き出したりした方がすっきりすると思うよ。」
なんて知ったような口をきいた。
その時も彼女は、なんのことって笑ってた。
人によっては人に頼るのが苦手な人がいるんだな。
同じことを言われるのだって人から言われるのと
本を読んで理解するのと、全然違うって人だっている。
人のことを信用してない、人の力で自分を許そうって思ってない、
そんな彼女を僕がいくら助けようとしたって、どうにもならないことが
だんだん分かってきて、僕はどんどん何もできなくなって
そんな自分の無力さにがっくりとうなだれて、
それでも彼女はずっと笑って「どうしたの?」って僕のことを気遣ってくる。
何をしたらいいって聞けば何もしなくていい、
何を言ったらいいって聞けば何も言わなくてもいい、
遠い遠い彼女は、まるで人間的なつながりを全て拒否してる。
何もできなくて僕は笑った。
そしたら彼女がやってきて、
「どうしたの、なんかいいことでもあったの?」
って僕の隣に座って笑った。
何も悩み事なんてないみたいにいつも、会えば笑っていた。
人づてに聞く、彼女の周りで起こった出来事、
彼女が起こした行動、彼女の言った言葉の数々は、
みんな本当のことなのに、彼女はずっと笑ってるから
みんな嘘みたいになった。
一度だけ、深く親しいわけでもない僕が
ただ仲間だと思ってるからという理由だけで、
「たまには吐き出したりした方がすっきりすると思うよ。」
なんて知ったような口をきいた。
その時も彼女は、なんのことって笑ってた。
人によっては人に頼るのが苦手な人がいるんだな。
同じことを言われるのだって人から言われるのと
本を読んで理解するのと、全然違うって人だっている。
人のことを信用してない、人の力で自分を許そうって思ってない、
そんな彼女を僕がいくら助けようとしたって、どうにもならないことが
だんだん分かってきて、僕はどんどん何もできなくなって
そんな自分の無力さにがっくりとうなだれて、
それでも彼女はずっと笑って「どうしたの?」って僕のことを気遣ってくる。
何をしたらいいって聞けば何もしなくていい、
何を言ったらいいって聞けば何も言わなくてもいい、
遠い遠い彼女は、まるで人間的なつながりを全て拒否してる。
何もできなくて僕は笑った。
そしたら彼女がやってきて、
「どうしたの、なんかいいことでもあったの?」
って僕の隣に座って笑った。
花は醜く枯れ落ちた。
春が過ぎ、夏に変わろうと景色ももがいてる。
僕ももがいてた。
どうにかなるさと高をくくっていた大学受験は見事に失敗した。
去年の春、決意を胸に通い始めた予備校は三ヶ月でドロップアウト。
授業料はただの寄付金になり、僕は予備校側のゲームセンターで
格闘ゲームの新台に向かう毎日。
こんなクズを拾ってくれる大学はどこにもなかった。
春は桜が咲くからな。
足並み揃ってスタートだって感じられる。
同じ方向へ進んでいった仲間たち。
僕だけ一人皆とは違う方へ歩いてた。
気が付けば、迷い猫。
ふらふらと街を徘徊する。
金もない、明日もない、20周年まであと一年もない。
昼間だってのに、公園には小さな子供もいなかった。
こういう場所ってよくお母さんと子供が遊びに来るもんじゃないのか?
思いだしたのは、近頃流行りの誘拐殺人事件。
ここのところ世の中は複雑で物騒で信用ならない。
僕はベンチに腰を下ろした。
うとうととしかけたのはそれから十分もしなかった頃だと思う。
隣に誰か座った。
黒くて長い髪が見えた。
紺色の制服。
学生か。
こんな時間に?
サボリだな。
関係ないけどな。
「あの」
あの?
「あの!」
あの?
目を開ける。
僕の方を見てる。
迷子か?
この辺の学校に行く道を知りたいとか。
「何してるんですか?」
何?
何って何?
なんか許可とかいるんだっけ?
「サボり…ですよね。」
サボり………………人生サボリ中…かな?
僕が何も言わないと勝手に喋る彼女。
「サボるって…何してたらいいんでしょう…。」
さぁ僕はここで逃げるべきか彼女に付き合うべきか。
春が過ぎ、夏に変わろうと景色ももがいてる。
僕ももがいてた。
どうにかなるさと高をくくっていた大学受験は見事に失敗した。
去年の春、決意を胸に通い始めた予備校は三ヶ月でドロップアウト。
授業料はただの寄付金になり、僕は予備校側のゲームセンターで
格闘ゲームの新台に向かう毎日。
こんなクズを拾ってくれる大学はどこにもなかった。
春は桜が咲くからな。
足並み揃ってスタートだって感じられる。
同じ方向へ進んでいった仲間たち。
僕だけ一人皆とは違う方へ歩いてた。
気が付けば、迷い猫。
ふらふらと街を徘徊する。
金もない、明日もない、20周年まであと一年もない。
昼間だってのに、公園には小さな子供もいなかった。
こういう場所ってよくお母さんと子供が遊びに来るもんじゃないのか?
思いだしたのは、近頃流行りの誘拐殺人事件。
ここのところ世の中は複雑で物騒で信用ならない。
僕はベンチに腰を下ろした。
うとうととしかけたのはそれから十分もしなかった頃だと思う。
隣に誰か座った。
黒くて長い髪が見えた。
紺色の制服。
学生か。
こんな時間に?
サボリだな。
関係ないけどな。
「あの」
あの?
「あの!」
あの?
目を開ける。
僕の方を見てる。
迷子か?
この辺の学校に行く道を知りたいとか。
「何してるんですか?」
何?
何って何?
なんか許可とかいるんだっけ?
「サボり…ですよね。」
サボり………………人生サボリ中…かな?
僕が何も言わないと勝手に喋る彼女。
「サボるって…何してたらいいんでしょう…。」
さぁ僕はここで逃げるべきか彼女に付き合うべきか。
給料日には皆が浮かれている(ように見える)。
子供のときは、ドラマでそんな風景見ても実感無かったけど。
週末の予定の話が弾む女の子たち。
それでも今は景気が悪いって皆が言ってるから、
「昔テレビとかで見たようなイメージと違うよね」って話してる。
そう言えばテレビの中の人たちは、おいしい物たくさん食べて
すごく広いマンションに住んで…みたいなのだった。
くたびれたアパートに帰る私。
嫌いじゃないよ、私は。
給料は生きる為にもらってる。
私は皆ほど、美味しいものに興味も無いし、
自分を着飾るのもセンスがなくて得意じゃないので
服やアクセサリーにそれほどお金もかからない。
散在する趣味も持ってない。
我ながらつまらない人間だと思うが、別にいい、困らない。
自分をおっきく見せようと無理してる人よりずっといいと思ってる。
「やっぱりぃ、おもしろい人間にならないと人生って意味無いと思うわけぇ。」
無理矢理連れて行かれたいつかの合コンとやらで
身振りと声の大きい男の子がそんなこと言ってた。
彼は二時間後急性アルコール中毒で救急車に運ばれた。
おもしろいってことが人に迷惑をかけることなら
彼はつまらないままの方が彼のままで良かったんじゃないかなと思う。
(あ、怒り新党の日だった。)
私は、テレビのチャンネルを変えて考え事を止めた。
子供のときは、ドラマでそんな風景見ても実感無かったけど。
週末の予定の話が弾む女の子たち。
それでも今は景気が悪いって皆が言ってるから、
「昔テレビとかで見たようなイメージと違うよね」って話してる。
そう言えばテレビの中の人たちは、おいしい物たくさん食べて
すごく広いマンションに住んで…みたいなのだった。
くたびれたアパートに帰る私。
嫌いじゃないよ、私は。
給料は生きる為にもらってる。
私は皆ほど、美味しいものに興味も無いし、
自分を着飾るのもセンスがなくて得意じゃないので
服やアクセサリーにそれほどお金もかからない。
散在する趣味も持ってない。
我ながらつまらない人間だと思うが、別にいい、困らない。
自分をおっきく見せようと無理してる人よりずっといいと思ってる。
「やっぱりぃ、おもしろい人間にならないと人生って意味無いと思うわけぇ。」
無理矢理連れて行かれたいつかの合コンとやらで
身振りと声の大きい男の子がそんなこと言ってた。
彼は二時間後急性アルコール中毒で救急車に運ばれた。
おもしろいってことが人に迷惑をかけることなら
彼はつまらないままの方が彼のままで良かったんじゃないかなと思う。
(あ、怒り新党の日だった。)
私は、テレビのチャンネルを変えて考え事を止めた。
< 前のページ
次のページ >
