833.傘がない

手帳のページが一枚ちぎられている。
ちぎられて新しいと思われるそのページを探して僕は家のゴミ箱を漁る。
ゴミ箱のゴミは集積所に出したばかりでゴミは無い。
ゴミ収集車は今朝来ていたはずだから、もう手の届く距離にはない。

次のページには、筆跡のくぼみが残っており、
推理小説さながらに鉛筆でこすってみようかと考える。
しかしウチには鉛筆が無い。そのうえ、一本だけあったシャープペンシルも
芯がつまって壊れてしまった。

コンビニで僕は鉛筆を買うかシャープペンシルを買うか迷ったあげく、
鉛筆を買った。僕は家でそんなに何かを書き記したりしない。
メモだったら、ボールペンがある。
あれ、ボールペンもインクが切れていたような気がするな。
さっき買えば良かった。

部屋に戻ると手帳が無い。
確かにテーブルの上に置いたはずなのに形も無い。
たいして物のない部屋で、今ちょっと出かけていた間に無くなるなんて事
あるだろうか。気が付けば今買い物してきたものも無い。
そういえばこの部屋には時計が無い。
テーブルなんかあっただろうか。
手帳は?僕は手帳を見つめていたはずだ。無くなったページ。
無くなったページ?いつ?自分の手帳なのに何を探しているんだ?
僕は?

僕は!
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by trash-s | 2008-07-11 23:23 | 形而上のセカイ