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1861.昨日の晴れ間

「ずっとハルの隣にいられたらいいと思うの。」
雫はそう言っていたらしい。
もちろん晴くんにではなく、別の人に。
彼女が素直にそんな自分の気持ちを言うことができたら、
二人はまだ一緒にいたかもしれない。
でも雫は死んで、ハルくんの中で永遠になった。

「雫?あれはただの幼馴染だし。
親同士が仲いいだけで。
二人とも一人っ子だから、兄弟みたいに思ってた。
俺はあいつのこと妹だと思ってるけど、
あっちは俺を弟だと思ってるみたいだけどな。」
学生服を着た晴くんはその時左の頬にニキビがひとつあった。
公園のブランコの柵に腰掛けて、足下につぶれた鞄を置いていた。
僕はブランコから、晴くんの左側を見るような位置にいた。

双子みたいだな、きみらは。

「別に共鳴とかしないよ。
いなくなることは想像できないけど。
でもそれは両親がいつか死ぬことだっておんなじことだし。」

両親と雫は違うよ。
仲がいいだけで血がつながってないし。
雫は君にとって特別な存在だよ。

「そうかなぁ。」

晴くんはいまいち納得してないみたいだった。
近くにあるものに僕らの注意力は鈍感になる。
当たり前だと思ってる今日が、
昨日は不安に思ってたことも、明日一変してしまうかもしれないことも
忘れてしまっている。
積み上げた昨日には何の保証もない。

by trash-s | 2012-04-30 00:40 | ハルくん