1874.裏切り

僕たちはいつも自分でも気が付かないうちに
人を信用している。
長年一緒にいた家族や、友人、
社会人になってからの仕事としての人間関係、
遠く見知らぬ人でありながら、テレビに出ている芸能人や
ネットでしか知り合ってないひとたち。
自分に笑顔を見せているうちは、彼らを善なる人たちと
信じて、みじんも疑うことをしない。
むしろ、疑う方が異常なことだったりする。

しかし時にそれは裏切られることもある。

元々悪い人のときもある。
事情がその人を裏切りに走らせることもある。
結果として裏切りになることもある。
裏切り者は、自分の裏切りを早く忘れる。
自分が生きる為に切り捨てた者たちを振り返る者は少ない。
悪い運を切り落としたくらいに自分に都合良く考える。
彼らはいつか自分が切り落とされることをまだ知らない。

裏切られた者は、苦しい。
そして悔しい。
血がにじむまで歯を食いしばり、悔しい、悔しい、と涙を流す。
その傷は深ければ深いほど治らない心の傷になり、
人間不信になる。
この世界を恨み、攻撃し、呪いの言葉を吐き、
道行く者に石を投げ、誰も自分を愛してくれないと嘆き、
血まみれの歯をむき出しにして怒り、
いつのまにか誰も近寄らなくなっていく。

それでも人を信じてよ。

誰かを信じることを忘れちゃなんない。
裏切り者を憎しみの目で見るあまり、
いつも側にいた人を見落とすことだってある。
その人を信じよう。
その人のいる世界を信じよう。
その世界を信じる傷ついた心が、
また新しい仲間を連れてくることを信じよう。

by trash-s | 2012-05-12 00:26 | 形而上のセカイ