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1894.笑いたいこと、泣きたいこと

日曜の朝に、人もまばらな街に歩き出してゆく。
あと数時間もすれば人ごみに変わる道は静かだ。
早々と歌を歌いだすストリートミュージシャン。
横目で熱唱する顔を見る。
彼の外の顔だ。
あの顔で笑ったり泣いたりするはずなのだ。
折り合いの悪い両親との諍いに疲れ、自分の才能に迷う。
希望に溢れた友人たちが次々と就職活動に夢を喰われて倒れてゆき、
彼は逃れたくて走る。

道行く人の顔は無表情で固い。
日曜の朝から、どこかへ向かってゆく。
休日出勤か、資格試験か、アルバイトの面接か。
彼らもまたあの顔で笑ったり泣いたりするのだ。

緊張を捨て去った学生の女の子とおぼしき集団にすれ違う。
制服を脱ぎ捨てて、自分の好きな格好をして心の緊張を解きほぐす。
この街で、彼女たちは笑ったり泣いたりする。
おしゃれなカフェで甘いものを食べて友達と笑い、
雨の日のデートで別れを切り出されて泣く。

僕はと言えば、一週間かけて練ったプロットを
五分で没にされ少々腐っている所。
酒もタバコもパチンコもしない僕は、
金すらさほどかからないつまらない男。
笑うのも泣くのもたくさんだ。
笑い方も泣き方も忘れて疲れてる。
鬱病になるほど繊細でも真面目でもない。

笑えることも泣けることも幸せだ。

by trash-s | 2012-06-03 11:38 | ある日の出来事