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1924.僕と誰かのための星空

星空が目の前に広がっている。
隣の歩ちゃんは目をキラキラさせている。
都会の灯の届かぬ場所までくれば、
満天の星空はまだ見られる。
うつむいて歩いてばかりいたら、星空はいつのまにかどこかへ行ってしまった。

「星空が見たいんだよね。」
クリームソーダはしゅわしゅわと泡を立てていた。
僕はため息をついてワンクッション置く。
それから息を大きく吸って

彼氏と行け。

と言った。
どうして僕がそんな面倒見ないといけないんだ。
「彼氏なんていないの知ってるくせにそんなイジワル言うんだぁ。」
僕は知ってる。
彼氏はいるんだ。
それも数人は遊ぶ男友達もいる。
「あいつらバカだから、暗い所行くとエッチなことしか考えない。」
それも分かる。
だから透くんに頼めよ。
「あの人忙しいから。」
僕も忙しいよ!
「そう見えるようになってから言いなよ。」
ぐぬぬ。

プラネタリウムから出ると、
歩ちゃんは満足そうな顔で僕を見た。
「綺麗だったね。」
偽物だけどね。
「そういう水さすこと言ってかっこいいとか思うのかっこわるいよ?」
そんなんじゃないよ。
本当に田舎の暗闇で見る星空は綺麗なんだよ。
「都会はこれでいいんだよ。
誰かと見る星空がどこかに必要なんだから。」

by trash-s | 2012-06-29 23:51 | 歩ちゃん