1929.ログの想い出

ログを見るといらいらした。
かつてあったもの、
かつて楽しかったもの、
それでも毎日がムカついてしようがなかった頃、
端末から溢れる情報とSNSだけのつながり。
死ねと言えば死ねと返ってくる、屈託の無い仲間たち。
僕の行き場のない感情は、全てサーバーの中に叩き込んだ。
それを受け入れてくれる全てが心地よかった。
それだけで生きていけた。

誰もいない。
現実世界と同じく、そこには誰もいなくなっていた。
当たり前だ。
世界がこんなになってしまったのに、
誰が暇潰しのネットサービスなんかにいるだろう。
目覚めてから誰にも会ってない。
冷凍睡眠から目覚めた他の者は誰もいなかった。
いくつかのポッドの電源は落ちていて、見に行くのも恐ろしかった。

僕はかつて端末を四つ持っていた。
そのどれでアクセスしても、誰もいなかった。
最後のログがみんな楽しそうだった。
自分だけ置いていかれたような気がした。

あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ

ふざけて打ち込んでいたセリフを、
昔は声に出したことなんて無かった。
そんなことしたら、周りから病気かなにかだと思われるのがオチだ。
僕は、普通なんだ。
普通なんだ!
気が付くと、空に向かって叫んでいた。

みんな、どこ行ったんだよ。

僕は端末を全て踏み壊した。
ログを見るのが辛かった。
そしてこれから先を自分一人で築き上げていくことにも興味が無かった。

…あの場所なら確実だろう………

by trash-s | 2012-07-03 23:57 | 星の胞子