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2134.新宿のイージス

「誰かを守れるとか守れないとか言うけどサァ、
結局守れなかったことしか覚えてないんだよ。
後戻りできなくなったことだけ、後悔として残る」
新宿の焼肉店だった。
なぜかやたら空いていた。
客は僕らと反対隅の方に一組の男女。
やたら焼くのに時間のかかるホルモンを焼いている時、
つぶやくように雅人くんが言った。
「あんたもつまらない犯罪で俺の前から消えないでくれよな。
まぁ大丈夫だろうけれどな」
大体のことは察しがついた。
また誰か身内が何かしでかしたんだろう。
雅人くんは疲れているように見える。
大丈夫?
「大丈夫、いつもどおり」

雅人くんはいつも何かの盾になろうとしていた。
漂流する若い人に声をかけては友達になっていた。
僕はそれだけでも大きな盾だと思っている。
他人が身を案じて自分にくれた言葉は本人にとってとても強い盾になるものだ。
雅人くんはそんな盾をたくさんの人に分け与えてきた。
それを彼にどう伝えたらいいか僕はわからない。

by trash-s | 2016-02-10 23:57 | 雅人くん