2136.僕を守る存在のひとり

眠れない夜には、頭の中に話し相手が現れる。
ここ数日よく眠れなかった。
だからそろそろ彼女がやってくる頃だろうと思っていた。
やぁ。
彼女は答えない。
僕をじっと見つめている。
しばらくして「眠れないのか?」と口を開いた。
残念ながら、近頃そのようだ。
「お手玉でもしようか、それともあやとりがいいか?」
彼女はいつも綺麗な着物を着ている。
年の頃は10もいかないくらいだろうか。
お手玉やあやとりは確かに彼女に似合った遊びだった。
だが僕は疲れていて、座っていることもできない。
座ったまま頭が落ち、床にべたりと倒れこんだ。
薄眼を開けると彼女の膝が見えた。
頬にそっと柔らかな指の感触。
ほのかに暖かい。鼻先を知らない花のような香りがくすぐる。
「聞こえるか?」
ああ聞こえる。いい気分だ。
「なら昔話を聞かせよう。黙って聞いているといい」

むかーしむかし、あるところに————

by trash-s | 2016-02-12 22:15 | 夢日記